こんにちは。新熊屋@傷心真っ只中です。
普段の撮影ではマンフロットのごつい三脚を使っていますが、子供のビデオ撮影などでまだ現役だったベルボンの三脚がとうとうご逝去いたしました。
最近は使う機会も少なくなってきましたがもう7年以上使ってきただけに、三脚の足が抜けたときには一瞬目を疑ってしまいました。
今までありがとう Sherpa 435II
あなたが家に来てからもう7年ほどになるでしょうか。まだカメラを始めたばかりの私にはずいぶん大きな買い物をしたな、という感慨がありました。
この7年間、一緒にいろいろな場所へ出かけましたね。まだまだ駆け出しだったあの頃、自分の撮りたい写真もわからずに目に映るものすべてにカメラを向けていたような青二才を、あなたは温かい目で見守ってくれていました。
「自分の撮りたいものは風景だ!」と少しずつ意識してくると、あなたの活躍も増えてきました。とくに冬の早朝の福島潟では、凍てつく空気のなかでも不平ひとつ言わずにカメラを支えてくれたけなげな献身的な姿が、いまでもまぶたの裏に浮かび上がってきます。
だけど、カメラを変えた頃から私はだんだんあなたを顧みなくなっていった気がします。撮れる写真、撮りたい写真が増えていくにつれて「もっとこんなふうに撮りたい!」という欲求がふくらんできて、それとともにレンズもどんどん大きくなっていった気がします。それでもあなたはただ黙ってカメラを支えていました。まるでそれが自分自身の唯一至高の使命であるかのように。
そしてついに私は一つの重大な決断をします。新しい三脚の購入です。
その三脚は大きく重く頼もしい存在でした。私は嬉々としてその新しい相棒を手に取って撮影に出かけます。あなたを置いて。。。
そんな私をあなたはどんなふうに感じていたのでしょうか。嫌いになったでしょうか。軽蔑したでしょうか。今となってはもうあなたの気持ちはわかりません。けれども私は信じています。あなたは腐らずに私を待ち続けていたのではないかと。
だってあなたは、新しい使命に嬉々として答えていたではありませんか。レンズボールを支えてそびえたつあなたは自信と矜持に満ち溢れた威厳ある姿を、私の目に焼き付けてくれました。そうあなたはこれから第二の人生を歩み始めたばかりだったのです。
そんな矢先のいきなりの悲劇。私は一瞬何がおこったのか理解できませんでした。
最初はゴムの石突が外れました。その後にストッパーとともに足が抜け落ちてしまいました。それであなたはもう立つことができなくなった。なんだかとてもあっけない最期でした。
物事の幕切れなんて案外こんなにもあっけないものかもしれません。
だけど私は忘れません。あなたと過ごした日々を。あなたと撮って回った場所を。
私はここで立ち止まりません。ずっと見守ってくれていたあなたなら、ここで立ち止まる私は見たくないはず。
そんな思いを胸に秘めて、私はこれからも先に進んでいきます。
合掌
最後に
さて先に進むためには、気持ちを切り替えて次の三脚の物色です(笑)
「中古品にするべきか 新品にするべきか それが問題だ」
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。