こんにちは。新熊屋@夜景スキスキーです。
私は工場夜景を撮影することがよくあります。
工場夜景の撮影現場で写真を確認してバッチリ成功!と思っても、家に帰ってパソコンの画面で確認するとなんだか思った以上に暗い写真になっている。。。ということがよくあります。
みなさんも撮影現場で確認した写真と、家に帰ってきてから確認した写真では、同じ写真なのに明るさが全然違ってみる、なんていう経験はありませんでしょうか。
これ、周りの明るさがまったく違った環境だったための目の錯覚のようなものです。
今回は、こんな失敗をしないためにヒストグラムで明るさを確認するといいですよ、というお話です。
そもそもどうして写真の見た目の明るさが変わるの?
最初に書いた工場夜景での失敗、もちろん撮影現場とパソコンで確認したときの写真の明るさは変わっていません。変わっているのは周りの環境です。
工場夜景を撮影するような場合は、夜の時間帯なので基本的に周りはとても暗い状態です。このまわりが暗い状態に目が慣れているため、カメラの液晶画面がとても明るく見えるようになります。このため、実際には暗く撮影された写真でも人間の目には明るく見えてしまいます。
逆に真夏の太陽が照り付けるような場合、周りの明るすぎる環境に目が慣れてしまい、逆にカメラの液晶画面がとても暗く見えてしまいます。
こんな場合は、カメラの液晶画面の明るさを周りの環境に合わせて、夜ならば暗くして、昼ならば明るくすればある程度は対応できます。
しかし、もっと客観的に写真の明るさを測る指標があります。それがヒストグラムです。
ヒストグラムってなに?
カメラやパソコンで写真を見たときに、このような山なりグラフを見たことはありませんか?それがヒストグラムです。
ヒストグラムとは、縦軸に度数、縦軸に階級をとったグラフで、写真の場合は、横軸に明るさ、縦軸にその明るさのピクセル量を表します。横軸は、右に行くと明るくなり、左に行くと暗くなります。
上の画像で、山になっている部分が「その明るさのピクセルがどれくらいあるか」ということを表しています。
ヒストグラムの山形は何を意味するのか?
ではこのヒストグラムを見るとなにがわかるのか?それはその写真の明るさが視覚的にわかります。
前にも書いた通り、カメラの液晶画面やパソコンのモニタで写真を見る場合、周りの環境によって見た目の明るさが変わります。これは人間の目が、明るいものは暗く見えるように、逆に暗いものは明るく見えるように調整している結果です。
ヒストグラムは、このような人間の目の調整を考慮せずに、周りの環境に左右されずにその写真の明るさを表してくれるグラフです。
ヒストグラムの山形のピークが右側にあると明るい写真、左側にあると暗い写真となり、山形のピークが真ん中にあるとちょうどいい明るさの写真という目安になります。
上の画像は、右上に張り付けたヒストグラムがだいたい真ん中に来ているので、適度な明るさの写真になっています。写真を見ても暗すぎず明るすぎず、ということが感じ取れると思います。
これと同じものを明るくした写真、暗くした写真のヒストグラムはどうなるかというと次の通りです。
明るい写真の場合
この写真、全体的に明るい写真ですよね。右上に張り付けたヒストグラムの山が右側に寄っているのがわかると思います。これが明るすぎる写真のヒストグラムの特徴です。
暗い写真の場合
今度は全体的に暗い写真です。右上に張り付けたヒストグラムの山はだいぶ左側に寄っています。これが暗すぎる写真のヒストグラムの特徴です。
普通の明るさの場所では、ヒストグラムを見ないでも写真の明るさの強弱はわかります。
ところが例えば真っ暗い部屋の中で見た場合は、下の暗い写真でも意外と明るく見えたり、逆に晴天時にスマホの画面から上の明るい写真を見てもだいぶ暗く見えてきます。
そのような場合は、ヒストグラムを確認して見た目の明るさではなく、実際の写真の明るさを確認することが有効になります。
例外的なもの
ただし、このヒストグラムも万能ではありません。被写体によっては、その山の形が大きく変わることがありますし、山のピークを真ん中にあわせるようにしても適度な明るさにならない場合があります。
夜景撮影
ヒストグラムの山の形がいびつになる最たる例が夜景写真です。
この写真、右上のヒストグラムの形をご覧ください。
左側に尖塔のような山があり、その右隣りにも小さな山がありますが、それ以外はほとんど山になっていません。
これは暗い夜空が画面の大部分を占めているため、明るさがほとんど同じピクセルが大量にあるためです。
ヒストグラムを見るとだいぶ暗い写真のようですが、この尖塔のような山を真ん中までもっていこうとすると、今度は全体的に明るくなりすぎて工場の建物が持つSFチックな雰囲気が失われてしまいます。
白い被写体
これは満開の桜の写真です。
右上のヒストグラムを見ると山のピークは真ん中に来ているので、ヒストグラムだけを見ると適度な明るさの写真になっているはずですが、写真全体を見ると全体的に暗い印象を受けると思います。
これは白い被写体はそのまま撮影すると明るくなりすぎるので、暗めに撮ろうとするカメラの働きのためです。このような白い被写体の場合は、カメラの露出補正をプラスにあげることで全体的にバランスの取れた明るさの写真が撮影できます。
さいごに
撮影現場で適切な明るさの写真を撮影すれば、その後のレタッチで明るさを調整する
必要がなくなり作業を軽減することができます。またあまりに暗すぎる写真、明るすぎる写真は、その後のレタッチの幅を狭めることにもなります。
ヒストグラムを確認することで、撮影現場の環境に左右されずに写真そのものの明るさを判断できるため、とても便利なツールですのでみなさんもぜひ活用なさってみてはいかがでしょうか。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。